SUPER STUDENTS

WHAT IS GENDER?

西上床希実
NOZOMI NISHIUWATOKO
小林絢花
AYAKA KOBAYASHI
—— 撮影を終えての感想をお聞かせください。
N

私はメイクをメインで担当したのですが、すべてがあっという間でした。
撮影当日もですが、それまでの約1ヶ月の準備期間も全部あっという間で……。
知らなかったことも多かったですし、メイクの仕方やチェンジの時間を気にしながら練習するのも初体験で、さまざまな経験ができ、中身の濃い時間だったなと思います。

A

「終わった〜!」という感じです。
約1ヶ月の準備期間中、最初は「まだ1ヶ月」と少し余裕がありましたが、最後のほうはキツキツの詰め詰めという感じで、だんだん余裕がなくなっていきました。
撮影当日はできることをやるだけという感じだったので、すぐに時間が過ぎましたね。
個人的に、ヘアショーと「SUPER BIDO」が重なっていましたし、とりあえず一仕事終わったなという感じです。
でも、準備も含めて全部が楽しかったですし、苦ではなかったです。

—— 写真の作品を見てどう感じましたか。
N

私たちの作品は、全体的にシンプルな印象だったんですね。
でも衣装をつけていただき、躍動感を出す演出のおかげで、パワフルさを感じました。
モデルさんの眼力も、学校で練習した友だちのメイクや、デッサンシートに描いたものとは違って見えました。
また、紫や青の着物風の衣装だったのですが、レスリーさんが撮影した作品を見ると、波の渦のなかにいるようなイメージになって、「すごい!」と。衣装に海を感じました。
衣装は撮影日にはじめてつけていただいたのですが、衣装とヘアメイクが合わさったら、レスリーさんの世界観になっていて、「雑誌で見ていたやつだ!」と思いました。
パターンチェンジも、メイクは土台に足していく感じだったので、ガラッと色を変えたわけでもなく、ヘアも黒髪でシンプルな印象でしたが、華やかな衣装と撮影時につけていただいた躍動感のおかげで、パターンごとの差がすごく出ました。
自分たちで作った小物が映えているのもうれしかったです。

A

迫力が違いましたね。
手作りのものが多いので、雛人形や鶴、それらを吊るす天秤なんかも、飾りだけを見ているとちょっと安っぽく感じた部分もあったのです。
天秤は、準備期間の最後のほうで、本番で使った棒に変えたのですが、あれもラップの芯にスプレーをかけて作ったので、近くで見ると素材がわかってしまうんですね。
それが、写真だとそんなにくっきりとは見えないこともあり、ちゃんとものになっているなと思いましたし、衣装がついたことで一気にインパクトがあるものになりました。

──コンセプトは「WHAT IS GENDER」ということですが、これにした理由や作品で表したかった想いを聞かせてください。
N

「PINK」というテーマで何を表現しようとか、どういう意味を持っているんだろうというところから考えてみたのですが、ピンクはかわいらしさとか、ふわふわしたやさしい、和らげるようなイメージだったんですね。
だからといってただふわふわしたものを表現するよりは、社会情勢や現状の問題を絡めさせられたらと思いました。そこで、いま、どんな問題があるかを考えてみたら、男女格差はやっぱりあるかなと思ったのです。とくに日本では、「ピンクは女の子、青は男の子」というイメージがありますが、調べてみたら、昔はピンクは男の人のイメージだったんですね。それで、ピンクでジェンダー平等を表すことを思いつきました。
平等なので、天秤にかけてみようと思い至って、そこから天秤をメインにどういうふうに表現していこうかと考えました。
女子と男子がわかるものを載せたいと考え、思いついたのが雛人形だったんですね。
そこから「和で行こう」となって、どんどん固まっていきました。
せっかく和にするなら、雛人形を吊るすものは折り鶴にしてみよう、とか。折り鶴は平和の象徴でもあるので、平等になった先の平和や希望というメッセージも込められるかなと。
雛人形も平安時代の天皇や貴族がモデルで、その時代から女性の力が低くなっていったという時代背景もあったので、ぱっと見でわかること以外にも意味を持たせられる要素があるかなと思いました。

A

今回は、西上床さんが土台を全部考えてくれて、それにプラスする形で「髪型はこうしたほうがいいんじゃないか」というように足していった感じなので、込めたかった想いは全部言ってもらいました。

──作品のなかでこだわったポイントや大変だったことはありますか。
A

大変だったことは、和髪っぽいものを2個ウィッグで作ったのですが、これまでちゃんとした和髪を作ったことがなかったので、練習のときにいろいろと挑戦できたかなと思います。
こだわったのは、ヘアで女性、メイクで男性を表現したところです。
ただ、メイクはシンプルすぎると映えないし、盛りすぎると男性らしさが出てこないんですね。
バランスの取り方が難しかったです。
最初は歌舞伎の隈取りにしようと思っていましたが、前回の作品とかぶってしまうので、思いきり歌舞伎風にするのは避けようと。
それならどんなメイクにしようかと悩んで、浮世絵に描かれた男の人を見ながら、それらしい要素を取り入れつつ作っていきました。

N

とくに1パターン目の眉は吊り眉っぽい角度で短いのですが、女性のメイクで吊り眉は、昔はあまりなかったと思います。
これは浮世絵や歌舞伎のメイクを見て、インスピレーションを受けて考えた感じですね。
バランスについては、メイクとヘアを別々に考えていったら、合わせたときに違和感が出てきてしまったのです。
メイク単体ではよくても、ヘアとは合わなくなってしまって。
1パターン目は和髪なので、土台の崩せないところがある程度決まっていたこともあります。
バランスがバラバラになってしまうと違和感が出ますから、それを踏まえて「男性的」「女性的」という要素を入れながらも、自分たちらしく合わせられる作品に工夫していきました。

──ここからは作品以外のことについてうかがいます。美容の道に進もうと思ったきっかけは何ですか。
N

私は3歳の七五三のときにはじめて着物を着て、美容室でヘアメイクをしてもらったのですが、それがすごく印象に残っていたのです。
祖父が私用に仕立ててくれたんですね。
そのときの印象がとても強く、鏡の前で魔法にかけられたような気持ちになったこと、着物はきつかったのですがとても気に入って、脱ぎたいけど脱ぎたくないと思ったことも覚えています。
その頃から、「自分がこれを作る側になりたい」と思っていました。
7歳のときも同じ着物を着たかったので、同じ美容室で同じ人に着付けてもらい、ヘアもやっていただいて。
そのときは、地毛で昔ながらの七五三の髪に結ってもらい、それも印象的でした。
いまふうの七五三をしていたら、将来の夢は変わっていたのかなとも思います。
それからずっと「美容師になりたい」「魔法をかける側になりたい」と思ってきました。

A

私はそんなにしっかりしていなくて、高校で進路選択をするときに、大学に行くか、専門学校に行くか、就職するかを考えていたのですが、大学は行きたい分野がなく、高卒で就職するのは嫌だったので専門学校に行こうかなと。
そして、自分が好きなもの、得意な分野に進みたいと考えたとき、人の髪をセットするのが小さい頃から好きだったのもあり、高校の文化祭などでも友だちの髪を編み込みしたりしていたので、美容系の学校に行こうと思いました。
なので、高校生のときに急に決めたという感じです。

──たくさんの学校のなかから山野美容芸術短期大学を選んだのはなぜですか。
N

着物もそうですし、福祉などにも興味があるので、幅広く学びたいと思って選びました。
「美容師になりたい」という夢が軸にあったので、美容学校に行くのは以前から決めていたのです。
学校を調べていったら山野美容専門学校を見つけたので、当時行っていた美容室の美容師さんに「山野美容専門学校が気になっているけれど、福祉にも興味がある」という話をしてみたら、「山野短大のほうなら福祉もやってるかも」と教えてくださいました。
それで短大を調べてみたら、心理学や英語などさまざまな講義がありましたし、資格も取れるとわかり「ここならやりたいことが全部できるかもしれない」と思ったのです。
その後、オープンキャンパスに行ってみたら、人数が少ないぶん先生との距離が近かったり、1年生と2年生の仲がよさそうだったり、キラキラしている先輩が多かったので、この学校なら自分のやりたいこと、将来に繋がることをたくさん経験できるかもしれないと思って、山野美容芸術短大を選びました。

A

私は、進路を決めるときに「大学に行ってほしい」と言われていたのです。
でも、行きたい分野がないから、自分のなかで大学はないなと。
専門学校にしても、ヘアについて学べるなら、どの学校でもいいと思っていました。
そんななか、模擬試験のとき、学校一覧に美容の短期大学を見つけて、「大学だし、美容のことを学べるし、ここにしよう」と思ったのです。
それから詳しく調べてみたら、山野美容芸術短大の入試に、レゴブロックを使ってもの作るという試験があって、「面白そうだから受けよう」と誰にも相談せずに勝手に決めました。
両親には反対されていましたが、自分の進路だし、高校卒業以降の学費は今後返していくことになっていたので、親に反対されることでもないなと思って、押し切ったという感じです。
でも、無理に大学に行って中退とかになるよりは、少しでも興味のあるところに行ったほうがいいと思っていたので。

──学生生活の楽しいところ、苦しいところはどんなところですか。
N

私は入学前から、「2年間しかないから、いろいろなことを2年間でやりきろう」と思っていました。
2年間ですべて吸収していこうと思っているので、学校の滞在時間が長いほうなのですが、学校にいると、いろいろな練習ができます。
また、ヘアのワインディングや着付けのコンテストに出たり、オープンキャンパスや学園祭のショーにも携わったり、この「SUPER BIDO」やインターナショナルスクールでの課外活動にもたまに参加したりして、現場に近い経験ができています。
はじめて会う人に着付けをしたり、自分たちで考えたヘアメイクをするという経験は、授業では学べないことですし、サロンに就職したとしても、そのサロンがこういったことをしていなければ経験できませんよね。
学生だからこそできることがたくさんあって、学生だから縛られる部分より、羽を伸ばしてやれていることが多い気がして、いまはそれがすごく楽しいです。
ひとり暮らしなので、夜遅くまで残って練習して、そのあと自分でごはんを作って食べたりという大変さもありますが、家族も全面的にサポートしてくれていますし、一緒に練習する友だちもいてすごく楽しいので、あっという間に2年間が終わりそうです。
試験も含めて、最後まで楽しみたいと思っています。

A

学校生活は、みんな仲よしなので、よく話すんですね。
先生も距離が近い感じで話してくれますし、友だちも面白い人ばかりで、すごく楽しいです。
いまはヘアショーや課外活動にけっこう参加させてもらえていて、いろいろな挑戦もできているので、充実しています。

──将来の夢は何ですか。
N

私は中学生の頃からサックスをやっていて、高校3年生の頃からいろいろなところで演奏させてもらっていますが、いまは福祉についても勉強しているので、将来的には訪問美容でうかがった先でも演奏ができたらいいなと思っています。
音楽と美容は、言葉に関係なく通じ合えると実感しているので。
老人ホームなどでお会いする認知症の方とは、なかなか話がかみ合わなかったりするのですが、ハンドマッサージをするととても喜んでくれて、昔のことを思い出して話してくれたりします。
福祉の勉強をしていると、他にもそういうエピソードを聞いたりするので、美容にはすごいパワーがあると思うんですね。
音楽のほうでも、言葉を発せなかったり、会話ができない方が、私の演奏でにこにこしてくれたりして、「通じたんだな」と思う瞬間があります。
その感覚が、美容と音楽、どちらを提供したときも一緒なので、合わせてやりたいなと。
音楽は補足という感じではあるのですが。

A

私は美容師ではなく、ヘアセットのほうに進む予定です。
美容師免許は持っているけれど、カットはあまりしないという人になる気がします。
大きく「こういう美容師になりたい」というような夢はなくて、ざっくりと「これからもヘア作りを続けられたらいいな」という感じです。
私はこれまでも、固定された目標より、ざっくりしたものが多かったので、いまもそんな感じですね。

「SUPER BIDO」は、初代山野愛子が提唱した「美道5大原則」の理念にのっとり、美容の理論と実践を通して、変わりゆく多様な文化の足跡を残すべく立ち上げたプロジェクトです。世界で活躍するアーティスト、山野学苑OBや在校生の作品のほか、同学苑で行っているさまざまな取り組みをご紹介しています。また、各界で輝くさまざまな人々を「美容」というキーワードで繋ぎ、盛り立てていくことで、美容業界の発展に貢献することを目的としております。

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