KIMONO COLLECTTION Issue 05

新田花珠
KAJU NITTA
鈴木美優
MIYU SUZUKI
—— 撮影を終えての感想をお聞かせください。
K

「終わった〜!」という感じです。
この期間に学校行事や課外活動、就職活動などいろいろとやることが重なってしまい、さまざまな期日に追われながら制作をしていたので。
寝る時間がふだんよりも少なかったり、精神的にすごく疲れたというのはありました。

M

私も一緒です。
「SUPER BIDO」を合わせると、課外活動を含めてこの1週間で3人のモデルさんにメイクをすることになり、いろいろなことを考えながらやっていたので、すごく大変でした。
今回、メイクとヘアは、デッサン提出日の2日前くらいにご指摘をいただいて、すべて白紙から描き直したので、メンタル的にも追い込まれましたし、睡眠時間も1〜2時間というレベルでしたから。
でも、いまこうやって完成して写真を見ると、がんばってよかったですし、一生の思い出になりました。

──おふたりでどのような役割分担をされたのですか。
M

おおまかには、私がヘアを担当して、新田さんがメイクを担当しましたが、基本はかつらだったので、メイクは分担して、ヘアはふたりで一緒に作りました。
当日の分担があっただけで、考えるのも準備もふたりでやりました。

—— 写真の作品を見てどう感じましたか。
K

いちばんに思ったのは、表情のつけ方ですね。
ヘアとメイクを考えるだけで、その先モデルさんがどうするかまではあまり考えていなかったのですが、レスリーさんが「驚いた表情して」と指示を出したときに、「そういうくだけた表現もできるんだ」と思いました。
その表情で撮影したカットがモニターに映ったとき、服の躍動感とモデルさんの表情に対して、メイクと髪型がしっかり和の雰囲気だったから、そのギャップがすごく面白いと思いましたし、びっくりしました。

M

今回作ったのは和装でしたが、洋装っぽい雰囲気のちょっとキラキラした感じをふたりでイメージしていたのです。
本番当日に衣装を見たら、自分たちが想像していたものと一致していたので、そういった部分も含めて、私たちの意思が通じたのかなと思いました。
また、これまでは友だちにモデルをお願いして練習してきましたが、やはりプロのモデルさんになると表情も変わってきますし、風で髪や衣装をなびかせることでより華やかになったり、カメラの角度なども含めて、想像の倍以上に素敵に仕上がりました。
プロの方はすごいんだなと思いましたね。

──コンセプトは「ATTRACTIVE WOMAN」ということですが、これを選んだ理由と、この作品で表したかった想いを聞かせてください。
K

「ATTRACTIVE WOMAN」というのは「魅力的な女性」という意味ですが、このコンセプトは後づけで、最初からふたりとも和装がやりたいと思っていたので、そこから入りました。
当初は3パターンで考えていたので、幼少期から成長して魅力的な女性になっていく過程を描きたいと思っていました。
「PINK」というテーマから、女の子の誰しもが1回は好きになるような色でひとりの女性の人生を描きたいと思ったので、「魅力的な女性」というコンセプトにしました。

M

ふたりでコンセプトを考えたのですが、山野学苑が今年で90周年なので、せっかくなら日本髪を使ったもので、和装で挑んでみようということになりました。
それならば、似た作品もあまりないだろうという予想もありました。
私は日本髪を使って花魁を作りたかったので、花魁として生きる女性の人生の過程を、幼少期、花魁、花嫁という感じで描けたらと思っていました。
今回撮影していただいたのは、そのなかでも最初の、幼少期のイメージのものです。

──作品のなかでこだわったポイントや大変だったことはありますか。
K

メイクは眉毛ですね。
ふだんは、眉毛の生えている部分や骨が出ているところに沿ってメイクをしますが、それを無視して歌舞伎風に描いているのです。
「これは普通の人ではいないだろうな」という眉毛を描いたので、とにかく難しかったです。
先生たちとも試行錯誤して、どこで跳ねて、どこで下げるというのを、ずっと考えて作ってきました。
本番ではいままででいちばんきれいに描けてよかったですが、そこはこだわったポイントです。
本当は自眉を消してピンクの眉を描くつもりだったのですが、これはこれでアリだなと思っています。
また、口の両脇に点を入れました。
口をおちょぼにしているので、そことのミスマッチがかわいいかなと思っています。

M

今回のテーマが「PINK」だったので、いろいろな種類のピンクの花を頭に散らしています。
また、桃割れの紐の部分をリボンで表しているのですが、入り方によって下がって見えたり上がって見えたり、いろいろな見え方をしてしまうんですね。
ですから試行錯誤しながらやりました。
時間を短縮するために、本当はヘアとメイクを分担してやる予定でしたが、近々になってから私もメイクを担当することになったので、やり方を覚えたりしましたね。
チークも、骨の位置を避けるよう気をつけないといけないし……。
メインは新田さんが担当なので、彼女にモデルさんの右に立ってもらい、私は左からやったのですが、ふだんと違う立ち位置なうえ、ふたりで同時に顔に触るので、お互い配慮し合い、譲り合って時間内にやらないといけないのがすごく大変でした。

──ここからは作品以外のことについてうかがいます。美容の道に進もうと思ったきっかけは何ですか。
M

小さい頃から親にヘアアレンジしてもらうのが大好きでしたし、撮影スタジオなどでヘアメイクをしてもらうのがすごく楽しくかったので、将来こういう仕事をしたいなと思っていました。
人を笑顔にする仕事に就きたいというのもありましたね。
親からも「あなたのやりたいことをやりなさい」「将来は人に自慢できる仕事や、人を笑顔にする仕事に就きなさい」と言われていたのです。
私はヘアアレンジやメイクをしてもらうのが好きだったので、今度は自分がやってあげて、人を笑顔にしたいと思いました。
また、年齢が上がるにつれて雑誌などを見るようになり、洋服にも気を使うようになってからは、「自分がこの洋服を着るときはこういうメイクとヘアにしよう」と思うようになりました。
ファッションは、毎日違う傾向のイメージが浮かんでくるので、それを形にするのが楽しいと気づいてからは、自分も美容業界に行って雑誌に関わったり、コレクションショーなどで表現する人なりたいなと思い始めて、美容業界を志しました。

K

私は小さいときは、アイドルやモデルなど、自分が出たい側だったんです。
でも、親が買ってくれたゲームにスタイリストの目線になってやるものがあって、ひとりの人でもいろいろな見え方ができて楽しいと気づいてからは、スタイリストを目指すようになりました。
それで母がさまざまな雑誌を買ってきてくれたり、自分も「このモデルさんはなんでこういう服を着てるんだろう」というように目線を変えてテレビを見たりするようになり、「自分が作り手だったらどうするかな」と考えて見るようになったので、私はそういう仕事のほうが合っているんだなと思い始めました。
ヘアメイクアップアーティストになりたいと思ったのは、高校に入ってメイクをするようになってからです。
私の高校はあまり厳しくないところで、顔にピアスをしている子もいれば、地雷系のメイクをしている子もいました。
そういう人たちを見ているうちに、メイクにもいろいろな方法があると改めて感じたんですね。
それで「自分がするのなら、この子はどんなメイクにするかな」と考えていくうちに、「メイクを考えるのが楽しいな」と思うようになったのです。

──たくさんの学校のなかから山野美容専門学校を選んだのはなぜですか。
M

校舎がいちばん広かったのと、新宿にあるので選びました。
私は横浜から通学しているのですが、せっかく都内に来るのなら、放課後を謳歌したいと思ったのです。
この学校ならいろいろなことができるとわかったので決めたのもあります。
でも、こんなに多くの経験ができるとは思っていませんでした。
最初はオープンキャンパスや学生ショーにはあまり興味がなかったのですが、入ってみたらとても楽しくて、いまは技術者としてオープンキャンパスのショーをやったり、課外活動もしたりしています。

K

私の決め手は、海外研修があることと、この「SUPER BIDO」があることでした。
オープンキャンパスで「SUPER BIDO」の話を聞いて、「そんなことができるんだ」と。
他の学校でも学校生活でできることを説明されましたが、ヤマノは学校側がこんなに外の世界を見せてくれるんだと思い、そこに惹かれました。
入ってからも、想像していたよりもさまざまな機会があり、性別を問わずプロの方から子どもまで、「こんなにいろいろな人の顔に触れられるんだ」と思ったりしています。
障害を持った女の子のメイクもさせていただいたのですが、ふだん生活していたら関われない人とお話をさせていただいたことも、ヤマノを選んで正解だったと思っています。

──学生生活の楽しいところ、苦しいところはどんなところですか。
M

学生ショーなどで、みんなでひとつの作品を作り上げるのはすごく楽しいですし、課外活動やオープンキャンパスの技術ショー、この「SUPER BIDO」もとても楽しいです。
クラスにいろいろなタイプの子がいるので、みんなと関わっていくうえで自分も成長できるのも楽しいなと思います。
つらいことは、国家試験のオールウェブとワインディングとカットと……、私は勉強が本当に苦手なんです。
毎回の授業も、実技は努力したらなんとかなりますが、学科は本当に難しくて。テスト前に人より追い込みをがんばらないといけないので、勉強は大変だなと思います。

K

楽しいのはやはり課外活動ですね。
1年生のときに着付けの授業が必須だったのですが、もともと着物は好きだったけれど、着付けはできなかったので、留袖や振袖、袴の着付けを学ぶのがとても楽しかったです。
帯結びは型が決まっているものもありますが、振袖は自分で考えていいと言われたとき、着物でもこんなに表現できるんだと思いました。
自分が思っていたことや、知っていたこと以上の知識を学校で教えてくれるので、すごく楽しいです。
だからこそ、知らないことばかりで覚えることが多く、頭に詰め込む作業も大変ですし、通学に1時間半くらいかかるので、寝過ごしてしまうこともよくあって、しんどいこともあります。
皆勤賞を狙っているうえ、学友会という生徒会にも選んでもらっているので、服装や授業を受ける姿勢に気を使っていて、学校にいる間ずっと気を張っているから、苦しいなと思うときもあります。
クラスでも、楽しいけれど、ちょっとふざけている子を怒ったりと、嫌われ役を買って出ないといけない立場なのは苦しいなと思うときもあります。

──将来の夢は何ですか。
K

ずっと思っているのは、自分の手で人を笑顔にする仕事がしたいということ。
だから、メイクをするときも気をつけているのは、声かけや肌の触り方ですね。
指先だけで触ったら痛いに決まっていますし、掌全体を使っても顔の丸みに合わせないと全部には塗れません。
そういう全部を含めて、モデルさん、見ている人、みんなが気持ちよく、笑顔になってくれるような仕事ができる人になりたいですね。

M

私は将来はヘアメイクになりたいと思っています。
ヘアメイクとしてさまざまな人を笑顔にして、自分のやりたい作品をどんどん進化させていき、いつかは私の友だちが「この子はこんな仕事をしているんだよ」と周りに自慢できるような、有名な人になりたいです。
でもいつかは結婚もして、幸せな家庭を持ちたいというのもあります。
仕事をやめることはできない性格なので、両立させていきたいと思います。
欲張りですが、いつかはふたつのことを同時にできる人になりたいですね。

「SUPER BIDO」は、初代山野愛子が提唱した「美道5大原則」の理念にのっとり、美容の理論と実践を通して、変わりゆく多様な文化の足跡を残すべく立ち上げたプロジェクトです。世界で活躍するアーティスト、山野学苑OBや在校生の作品のほか、同学苑で行っているさまざまな取り組みをご紹介しています。また、各界で輝くさまざまな人々を「美容」というキーワードで繋ぎ、盛り立てていくことで、美容業界の発展に貢献することを目的としております。

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