Issue.01

Super Pros

冨沢 ノボル Noboru Tomizawa

今回の作品は、どんなことをイメージして作られたのでしょうか

山野美容学校といえば、誰もが知っている日本トップの美容学校。そこで発行するフリーペーパーに5カットの作品を出して欲しいとレスリーからお話がありました。今回作品を一緒に作るという事、そして校長、理事長であるジェーンさんにお会いできるのを楽しみにしておりました。

そして、今年は開催しませんでしたが、世界的なイベントであるオリンピック──五輪の5色で、世界がひとつになるように色で表現ができたらいいなと考えたのです。当初は5色の色に心の色ということでピンクを入れ計6色で考えました。

今号のテーマである「Fantasy」。私は、現実にいるようでいない人間像を表現し、それをさらにレスリーが「Fantasy」を高いレベルにして写真に収める。この段階ですでに素晴らしい「Fantasy」なのですが、さらに見た方々がまた別の「Fantasy」をそれぞれで感じていただければ嬉しいと思っています。

若い頃に渡米して修業をされたとのことですが、なぜアメリカに行こうと思われたのですか?

90年代のNewYorkは人種のるつぼと言いますか、いろいろな顔の人がいるじゃないですか。顔色、形、あとはそのスタイルですよね。そんな、いろいろなものを見てみたくて。いろいろなところに行って、さまざまな人種の方にお会いしてみると、全然違うじゃないですか。私たちって、生まれてきてからは両親に、もしくは兄姉弟妹にいろいろなことを教えてもらいますよね。学校に行ったら、先生に教えてもらう。それもすごくいいのですが、それだけじゃなく、もっと違う刺激を見てみたいなと。生まれながらに違うところの人を見てみたいなっていう思いから、多様な人種がいっぱいいるところに行ってみたいなと思ったわけです。

 

世界でお仕事をされてきた先生に、日本と世界の美容との違いをおうかがいできますでしょうか。

日本のレベルはすごく高いのではないかと思います。アイデアとかは、世界の方ってずば抜けているんです。私たち日本人は真面目というか、あまり変わった人がいないんですよね。でも向こうでは、生まれも育ちもまったく違ういろんな方がいて、いろんなアイデアを持っている。ただ、日本人というのはすごく繊細で、可愛いものを持ち合わせているなと思っていて。たとえば今日、モデルさんが着ていた着物も、とても素敵でしたよね。色使いもスタイルも、オリジナルじゃないですか。ああいうものを見ると、「やはり日本はすごいなあ」と思うわけです。きれいなものがすごくいっぱいある。日本のスタイルをもっともっと広めていきたいです。コロナ禍中の今は海外に行けないですが、海外と日本の文化をミックスしたものをやれたらいいんじゃないかなと思っています。

これから美容業界を志す方々に期待すること、思うことはどんなことでしょうか。

小今回の撮影では、山野美容専門学校の学生さんたちにもお会いしました。学生さんたちはこの撮影現場を見ていろいろなことを考えたと思うんですけれど、最初にこの学校に来たときの思いというか、夢ですよね。夢を諦めないことがひとつ。そしてそれは絶対に叶うと思うこと。夢は、思えば思うほど叶うのかなって。レスリーも夢を叶えている人なので、諦めずに叶うまで思い続ける強さも持っていて欲しいなと。

今は夢を諦めてしまう方や、もっと言えば人生を諦めてしまう方も多数いらっしゃるじゃないですか。でも、こんな時代だからこそ前に向かって行ったら、きっといいことがあるのかなって。波は必ずあるんですよ。だから、最初はとても難しくて、私たちの先輩もよく言っていましたが、たとえば「3年がんばってみなさい」とか、人生にはサイクルがありますね。それまで生きてきた先輩が言うことは間違っていなくて、まずは3ヶ月やってみて、6ヶ月、9ヶ月、1年……という、3ヶ月周期というのは、先祖代々、昔から伝わっていることで、当たっているんですよね。そうして1年やって、3年やって……そうやって続けていると、降ってくるものがあるんです。「こうなりたい」という思いは、最初からもちろんあるんですが、続けていくことによって、その思いがどんどん派生していきます。木の枝のように、どんどん広がっていっていいと思うんです。「ヘアメイクになりたい!」「美容師になりたい!」「着付師になりたい」という思いが最初にあったとして、そこから分かれていくものっていろいろあるので。ファッションもそうですし、今だったら美容のYouTuberになってみたりとか、時代に乗ってやっていくのがいいのかなと。私たちのときはひとつだけだったんですけれど、だんだん変わってきましたよね。私も最初の頃は美容室で修業していましたが、こういったファンタジーのほうに行きたいと思いましたので、どんどん道を広げていったんです。今ある形だけでなく、いろいろな形で活動していくのが、これからの時代なんじゃないかなって。だからますます面白いんじゃない? 美容というのはすごく面白いので、続けていって欲しいなと思います。 私の座右の銘は「Never Give Up」ですから。 

素敵な作品と貴重なご経験談、そして後輩たちへの温かなエールをありがとうございました。

What was your inspiration for this creation?

Yamano is known by all as the top beauty school in Japan. When I heard that Jane Yamano wanted five fresh looks for the first issue of Super BIDO, I realized how internationally minded she is. Although the Olympics didn’t happen this year, I wanted the piece to represent the symbolic event of the world coming together by using the five colors of the Olympic flag. I also wanted to include the color I believe represents your heart and added pink, bringing the total to six colors. Each one of these styles ties into this issue’s theme of “Fantasy.” I wanted to show a design of someone who is both in and out of reality at the same time. Leslie was able to take this “fantasy” to another level, and hopefully those who see this creation will also be able to experience their own “fantasy” as well. 

Why did you decide to study in America during your younger years?

New York in the 90’s was a melting pot of races, cultures, faces, and of course styles. Everywhere you went, you would meet completely different people. I wanted to see as much as I could. I felt like we are taught by our parents and siblings, then by our teachers at school. That is okay, but for me I wanted something more. I wanted to be influenced by people that grew up differently than I did.

As someone who has worked in the industry around the world, what is the difference between beauty in Japan from the rest of the world?

The level in Japan is extremely high. The ideas are perhaps the best in the world. I believe Japanese are viewed as serious, and not perceived as weirdos. However, throughout the world, ideas come from people born and raised in different environments. The Japanese are delicate and like things that are cute. For example, the kimono worn by the model today (page 40-41), is so original in style and in its use of color. When I see things like this I think, “Yeah, Japan is amazing!” There are so many beautiful things here; I hope to spread Japanese style throughout the world. Because of the Corona Virus I can’t travel abroad now, but I hope to once again be able blend the beauty of Japan with diverse cultures of the world.

 

What are your expectations for those who aspire to work in the beauty industry?

Today I met the students here at Yamano Beauty College. I think the biggest piece of advice I can give is: hold onto your dreams and never give up! Believe that your dreams will definitely come true. I feel like there are people that not only give up on their dreams, but give up on life as well. I want the students to have the strength to hold onto their dreams until they achieve them. In this day and age there is such a bright future. Of course there will be hard times, especially in the beginning. But life is a cycle. Like our ancestors taught us, you must first give it three months, then six, then nine, and before you realize it, one year turns into three! It is only if you continue to persevere, will you learn certain lessons that come with time. Through perseverance, your dreams will grow like the branches of a tree. In the beginning if you think, “I want to be a make-up designer!” or “I want to be a beautician!” there are endless possibilities for you. In our generation you can even be a beautician online. I first studied in a salon, but because I perceived a wider vision, I was able to expand my horizons. Your generation can devise new platforms for your creations. I think it will only get more and more interesting. Because the beauty industry is so amazing, it is my hope that you will all continue on your path! My motto is “Never Give Up!” 

 
 

Thank you for sharing your amazing work and warm advice to young artists!

代表作

プロフィール

冨沢ノボル Noboru Tomizawa 

ヘアメイクアップアーティスト

http://www.urobon.com/

東京をベースに、ファッション誌、広告、TVコマーシャル、コレクション、映画、舞台などのヘアメイククディレクション、メイクデザインなど幅広く活動。今、最も活躍するヘアメイクアップアーティストの一人。