Kabuki

Student

上村真生
Mai Kamimura

歌舞伎をを作品のモチーフにした理由を教えてください。

M

作品が目に入ったときにパッとわかる、明るくて派手なものが伝わりやすいんだろうなと思ったのです。昔からあるもので、伝統文化として残っている派手なものとなると、歌舞伎かな……と。私が好きなSNOWMANというグループが「滝沢歌舞伎」という舞台を毎年やっているのですが、その舞台の桜の感じがすごく好きだったんです。それで、歌舞伎という題材が頭のなかにあったこともあります。

連獅子にしたのは、先生と「躍動感があるものはどうか」という話をしたことと、私のなかでいちばん印象が強い演目だったからです。頭を回すあの演技は、1回見たら忘れられない光景。ちょっと見ただけでも印象に残るものなので。

作品のポイントと、撮影に参加した感想を教えてください。

M

歌舞伎の隈取からインスピレーションを受けたのですが、実際の歌舞伎役者さんのように指で描いていくと男性っぽくなってしまうんですね。今回表現したいもののなかに「女性」というキーワードもあったので、あまり濃くならないように、1〜2パターン目は女性っぽさを残し、3パターン目だけ少し男性寄りにしました。とはいえ3パターン目のものも、本来なら指の腹でぼかすことでしっかりしたラインが出てかっこよくなるのだと思いますが、あえて縦にピンクと赤のグラデーション部分を作って、歌舞伎の隈取との差を出しました。口紅も、女性っぽさをなるべく残すようなイメージで使っています。

学校の授業はコロナ対策で、マスクをしたまま行なっていましたから、対人のメイクは目以外のものは経験していなくて、口周りや頬のメイクも今回はじめてだったんです。初対面のモデルさんで緊張もありましたし、練習時間が短かくスポンジやパフの叩き具合もコツをつかめていなかったので、先生方を頼りながらやらせていただきました。下地はよくできたかなと思っているのですが、メイクを進めていくと、モデルさんとの距離が近くなってしまうんですね。距離の取り方やメイクの仕方は難しかったです。

アイメイクも、日本人は二重幅が狭いので、赤いアイラインを引いてもあまり下まぶたに色が移らないのですが、今回はモデルさんが外国の方で二重幅が広く、目をつぶったりすると色が下まぶたに移るので、何回もやり直しました。練習していたのと全然違って大変でしたね。

また今回は、最後のパターンで鼻筋から目頭にかけて直線のラインを引こうと思っていたんです。でも、モデルさんが、鼻筋がすごいきれいな顔立ちだったので、あまり引いてしまうとよくないと感じて、直線ではなく少しカーブさせて、きつね顔のような感じで細くしました。当日、臨機応変に変えることができたのはよかったと思っています。メイクはひとりひとりに合わせることを学びました。

できあがった作品の写真を見て、どう思いましたか?

M

鏡越しや実際に正面から見るのと、写真に写った作品とでは、光の入り具合も違いましたし、とてもかっこいい作品になっていて感動しました。

撮影前は、歌舞伎の連獅子のように、モデルさんに首を振ってもらうと躍動感が出るのかなと思ったりもしていたのですが、実際はモデルさんに風を当てて毛を顔の周りに飛ばしたりもしていて、「そういうやり方もあるんだ」と。

準備をしていくうちに、最初に想像していたようにはならないだろうなと感じていましたが、結果的に、最初にイメージしていた感じの作品ができあがったので、よかったなと思っています。

ここからは、作品以外のことでうかがいます。美容の道に進もうと思ったきっかけはなんですか?

M

地元にあるいきつけの美容師さんの存在です。2年近くお願いしている方なのですが、その人が楽しそうに髪の毛を切っていたんですね。「この人、この仕事が好きなんだろうな」と伝わってきて、とても印象的で……。それが高校2年生の終わりくらいの進路に悩んでいた時期だったので、「こんなふうに楽しく思える仕事もあるんだ」「美容の道もいいな」と思ったのがきっかけで、そこから大学を調べて山野美容芸術短大にたどり着きました。だから、その人に出会わなかったら、たぶん4年制の普通大学に行っていたと思います。

じつは進学を決めたあとに、その美容師さんが山野美容専門学校のOBだと知りました。「山野短大を受けることにしました」と報告をしたら「俺、山野美容専門学校出身だよ」と。

美容専門学校ではなく、山野美容芸術短期大学を選んだのはなぜですか?

M

やはり「短大」というところがいちばん大きいですね。将来、美容の道から離れてしまうことがあっても、短大卒業という肩書きがあれば、仕事の幅も広がるのかもしれないと思ったので。情報の授業など一般教養も学ぶことができますし、華道や茶道など芸術的なものも学ぶことができるので、それも魅力だと思います。

あとは、オープンキャンパスに行ったときの先輩がとてもやさしくて、すごく楽しそうだったんですよね。「この学校にいることが楽しい」という様子が素敵で、進学を決めました。

学生生活の楽しいところ、苦しいところはどんなところですか?

M

入学してからもコロナの影響で登校できなかったのですが、オンラインでみんなと交流していたんですね。私は静岡出身なので、夏頃に上京してきたんですが、後期授業が始まったのをきっかけに、やっと友だちと会うことができたんです。でも、それまでもずっとオンラインで話していたので、不思議な感覚で……実際に会って「誰々だよね?」みたいな。知っているけど知らないという関係から始まるのは、なかなか面白かったと思います。

また、学校の広報の方が企画しているYouTube企画などにも参加させていただいて、そこで知り合った子たちと「どうしたら山短を広められるか」という話ができたのも、とてもよかったです。オープンキャンパスで会った先輩たちは、山短に来てもらえるように私たちをもてなしてくださったと思うのですが、自分もそんなふうに貢献できたらいいなと思っていたので。
あとは、先生たちと会えたことですね。みんなやさしくて、相談などにもフランクにのってくださいますし、話も弾むので会話自体が楽しい。ブリーチやカラーのことなど、個人的な悩みもプロにすぐ聞けます(笑)。

苦しいことはオンラインが多かったことですね。カットやワインディング、オールウェーブの授業もオンラインだったので、正しいかどうかわからない不安がありました。自分ではこれでいいと思っていても、先生が見たらダメだということもあるじゃないですか。来年の国試が不安というのはあります。

将来の夢はなんですか?

M

美容師になることです。地元に帰って、憧れの人のお店に就職しようと思っています。美容を目指したきっかけでもある方なので、そこに戻って学びたいです。そして、私が「この人楽しそうだな」と思ったのと同じことをお客様に思ってもらえたらなと。自分の職業が好きで自信があるということが伝わってきたのが道を決めるきっかけになったので、私もお客様にそんなふうに思ってもらえたらいいなと思っています。

「SUPER BIDO」は、初代山野愛子が提唱した「美道5大原則」の理念にのっとり、美容の理論と実践を通して、変わりゆく多様な文化の足跡を残すべく立ち上げたプロジェクトです。世界で活躍するアーティスト、山野学苑OBや在校生の作品のほか、同学苑で行っているさまざまな取り組みをご紹介しています。また、各界で輝くさまざまな人々を「美容」というキーワードで繋ぎ、盛り立てていくことで、美容業界の発展に貢献することを目的としております。

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