嶋香緒里(SHIMAクリエイティブディレクター)×山野愛子ジェーン(山野学苑理事長)対談

We have to change

美容の力を信じて、変えていくこと

嶋 香緒里さん

SHIMAクリエイティブディレクター

山野愛子ジェーン

山野学苑理事長

半世紀にわたって日本の美容業界をリードするサロンSHIMAと、我が国の美容業界の礎を築いてきた山野学苑。伝統を守りながらも新しいことに挑戦し続けてきた美容室・美容学校トップのスペシャル対談が実現しました。これまでの経歴やそれぞれの仕事のこと、今後の日本の美容業界についてなど、盛りだくさんなお話をSHIMA歴代の広告写真とともにお届けします。

山野愛子ジェーン

今日は本当にお忙しいなかありがとうございます。お会いできてうれしいです。SHIMAとYAMANOは本当に長いおつきあいをさせていただいていますが、まずは、SHIMAの歴史を簡単におうかがいできますでしょうか。

はい。SHIMAは1971年創業で、今年でちょうど50周年です。私の父と母のふたりでオープンしました。父は早いうちから店舗展開を考えていたので、自分はなるべく経営側に回り、どちらかというと母がメインで美容師をやるという感じでスタートしたそうです。私がSHIMAに入社した18年前には東京に6店舗、福岡に1店舗、トータルで7店舗ありました。私は美容師から始めたのですが、10年前にクリエイティブディレクターとしてオフィスに入り、徐々に父からバトンを受け継いで交代したという流れです。でも、そこまでは本当に大変でした(笑)。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

よくわかりますが、そこでやめずに続けたのはどうしてですか?

「美容師をやってからでないと経営は難しいから、美容師をやりなさい」と言われて現場に入ったのですが、美容学校も通信過程でしたし、美容師の仕事はそんなに簡単なものではないので、そのときもすごい大変だったんです。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

とくに通信から来るとそうですよね。

そうなんです。全然できなかったんですよ。おまけに父たちの考えで、1年目のシャンプー台担当をやらなかったんですね。SHIMAでは「ジュニア1」「ジュニア2」「ジュニアスタイリスト」を経て「スタイリスト」になるんですが、最初の「ジュニア1」を飛ばして「ジュニア2」として入社したんです。でも実際に現場に入ったら、周りから「あなた『ジュニア2』だよね。なんでこれができないの?」と。しまいには「先生(父)の子だから特別よね」と言われて。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

みなさん、オーナーの子だと知っているわけですから、難しいですよね。私も山野美容専門学校に入ったときは、香緒里さんと同じ気持ちでした。周りからしたら「できる」と思っていても、まだ習っていないからできないんですよ。

「できない子」から
トップアシスタントに

本当にそうです。入社4ヶ月目に青山店に配属されたのですが、青山はCenter of TRENDだし、SHIMAのいちばんすごいところでしたから、まさに戦いの場。そこで私は「できない子」「いつもビリな子」というレッテルを貼られたわけです。青山店は売れっ子のスタイリストばかりだったので、アシスタントもできる子が揃っているお店なんですね。そんななかで、私だけ何もできないから誰にも使ってもらえませんでした。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

スタイリストは、自分たちでアシスタントを選ぶんですか?

そうなんです。だから私はいつも誰にもつかないフリーのアシスタント。誰かについているわけでもないから、暇なのにシャンプーすることすらできない。そもそもシャンプーもできないんです。それがとにかく悔しくて、そこからシャンプーの練習を始めました。それからですね。「いろんなことをやらなきゃダメだ」と思い始めて、負けず嫌いの精神だけでがんばりました。そんななか、スタイリストになったばかりの奈良裕也のアシスタントにつきました。彼はプライベートはすごくやさしくて面白いんですけど、当時は仕事ではものすごい怖かったんです。毎日浴びるように怒られながら、必死でついていって。でも奈良は、そこから1年もしないうちにSHIMAのトップスタイリストになったんです。2番アシスタントや3番アシスタントもついて、私もだんだん後輩に教えるようになっていきました。当時、SHIMAにはアシスタントが100人くらいいたんですけど、奈良のおかげで私がトップアシスタントになったんです。そういう経験から、がんばるということを覚えました。

SHIMAはものすごい実力主義なんですね。結果を出さなければ誰も認めない。でも、奈良もそうですが、若手でスタイリスト歴が浅くてもトップになれば、たとえ10数年やってきた美容師がほかにいたとしても、トップとして扱われます。そういうシステムを作ったのが父なんですよね。日本は年功序列の国ですが、父はそれを嫌っていて。ですから父との交代のときも、がんばって結果を出せばみんなが認めてくれるというのは知っていたんです。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

日本では年齢が高い人が偉いのだけど、なんでそこにいるのかがよくわからないということもありますよね。

自分で選んだ後継者の道

山野愛子ジェーン

ところで、以前お父様に「お子さんたちがみんな会社に入っていますが、最初からそう考えて育てていたんですか? それとも好きなように選択したうえで入ってくれたらいいなと思っていたんですか?」と聞いたことがあるんです。そうしたら、みなさまご自分で選択をされたと。

ええ、本当に「好きなように」と。ただ私は、早い頃から漠然と「SHIMAに入りたい」と思っていました。どういう仕事をするかまではわかっていませんでした。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

お父様のお仕事を見ていて楽しそうとか、具体的にSHIMAに入りたいと思うようなできごとはあったんですか?

SHIMAの人たちはみんなおしゃれだったんですよ。当時は1月3日に実家で新年会をやっていたり、SHIMAの人たちと触れ合う機会がたくさんありました。お正月なので、新年会にはみんなおしゃれしてくるんですよ。みんなやさしいですし、幼い頃から「この人たちのなかに入るのかな」「入りたいな」くらいの気持ちがふわ〜っとありましたね。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

ご兄弟もそうだったんですか?

全然違ったと思います。姉はほかの会社で働いてからSHIMAに来ましたし。私と兄は美容師の免許を取るために、同じタイミングで美容学校の通信科に行きました。SHIMAに入るかどうかもわからなかったんですが、「今後のために免許だけは取っておいたほうがいい」ということで。それも、私は大学1年の終わりに突然、親から言われたんです。「お前たちは勉強もしないで遊んで暮らしているんだから、このくらいやれ」と。そのときにはもう、通信科への入学手続きも終わっていて(笑)。それが唯一、親から言われたことですね。あれよあれよという間に始まった感じでした。なので、大学とダブルスクールという感じです。

嶋香緒里

ダブルスクールの
メリット

山野愛子ジェーン

私もいま、そういう形で勉強したい人のために、ダブルスクールを提案していこうと思っているんですね。通信課程は3年で終わるので、大学を卒業するまでに両方修了できる。私は夜間だったのですが、通信のほうがよかったかもしれません(笑)。当時、上智大学に通っていたので、昼は大学、夜は山野美容専門学校に通いましたが、移動だけでも大変。よく遅刻もしました(笑)。通信課程もあったのに、なんでそっちのコースにしてくれなかったのかなと思いながら。でも、通信でも学んでよかったですよね。

そうですね。大学4年生になって周りのみんなが就職活動を始めたとき、ちょっとだけ就職活動をしたんです。でも、本当に自分がやりたいことがわからないなかで面接を受けても、うまく答えられない。当然、どこも落ちるんですよ。「こりゃダメだ」と思って。その頃から「美容の免許も持っているんだし、SHIMAに入ろう」と本格的に考えるようになりました。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

香緒里さんのご経験も聞くと、大学生のときにダブルスクールして免許を取っておくのは悪くないですよね。とはいえ、大学と専門学校の勉強を両立するのも大変だったと思います。

大学での学びを
生かして

山野愛子ジェーン

香緒里さんは大学で法律のお勉強をされていたんですよね。いまでもその勉強は役に立っていますか。

いまこそ役に立っています。経営をするにあたってすごく大きいのが、ロジカルにものごとを考えられるようになったこと。法学には法律や六法全書といった指針が常にあるんですね。それをもとにこのケースをどう考えるかというふうに。指針というものは大切です。スタッフにも、常に主観ではなく「SHIMA」を主語にして考えるようにと言っています。「私はあの仕事がしたい」「私はあの髪型がかわいい」と思って行動するのではなく、「SHIMAのスタッフとしてあの髪型がかわいい」とか「SHIMAのスタッフとしてこの行動はいいのか」と考えること。そういう指針になるものを持つことは、法律を学んだおかげでもあります。

もうひとつ、法律にのっとって、この時代の働き方に対応できることも大きいですね。昔の美容業界はいまに比べたら相当に厳しい労働内容だったと思うんです。私が入ったときもそうで、午前0時まで当たり前にお店にいました。でもいまは練習するにも時間が決まっています。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

この業界は本当にそうですよね。本人が働きたくても、法律で決められた以上の労働はダメなので。学生もそうですが、みんなで飲みに行ったり遊びに行ったりすることもとても危険なラインで、とくに先生と学生のおつきあいは難しいんです。

スタイリストがアシスタントの指導のために、終業後に「ごはんに行ってちょっと話そう」というのも、「これは業務ですか? それとも業務外ですか?」となってしまいますから。

嶋香緒里

コロナ禍のなかで
求められること

山野愛子ジェーン

いまはさらにコロナもありますので、大変なことが多くなっていると思いますが、コロナになってから変えたことなどはありますか?

感染対策ですね。お客様の検温や消毒ももちろんですが、スタッフ間の集まりや夜のレッスンは全部なくして、社内向けのセミナーもオンラインにしています。スタッフルームもすべて換気したり、衝立をたてて食事をしたりしています。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

美容室は昔から換気や消毒もきちんとしていますが、安心を提供するためには従業員用のバックヤードも準備しないといけないですものね。

そして、こういったご時世では、YAMANOもSHIMAも、学生とスタッフという違いはあれど、どちらも「YAMANOの学生」「SHIMAのスタッフ」という看板を背負っているわけですから、それぞれの行動に意識の問題が出てきます。

本当にそうです。スタッフにもそれをとても言っています。「私がそこに行きたい」じゃなくて、「SHIMAのスタッフとしてそこに行っていいのかを考えてね」と。そういうスタッフ教育がいちばん大変ですね。

嶋香緒里

クリエイティブ
ディレクターは
「何でも屋」

山野愛子ジェーン

香緒里さんがクリエイティブディレクターとして携わっているお仕事は、教育的なことのほかにどんなことがありますか?

私は周りからも「何でも屋」と言われるんですが、本当に何でも屋なんです(笑)。WELLAさんやSchwarzkopfさんとカラー剤の共同開発をしたり。WELLAさんの「イルミナ」はもう10数色めなのですが、これからまたさらに新しい色を作っていきます。

あとは、サロンのインテリアデザインなどの内装ですね。サロンは場所によってかなり内装を変えますし、そのときどきのトレンドを取り入れています。いまはInstagramなどで集客もしますから、各サロンの特徴に沿った内装にすると、そのお店をめがけてお客様が来てくださるんですね。クールでモードなものが好きな人は青山店や原宿店、K-POP風のスタイルやスイートなものが好きな人はSIX GINZAという感じで。だから、お店に合わせてスタイリストも振り分けています。

また、私がクリエイティブディレクターになってからやめたことも、けっこうあります。福岡店もそうですね。20数年ずっとあったのですが、私がいろいろなことをやり始めるなかで、福岡店はオペレーションが難しく、中心に集めてやったほうがいいかなと思うようになって決断しました。

嶋香緒里

トレンドサロン
としての
モットー

山野愛子ジェーン

長く最先端の有名サロンとして続けていくなかで、SHMAのモットーのようなものはありますか?

トレンドサロンであることはいつも大事にしているのですが、だからこそ、内装もスタッフ教育もトレンドを取り入れなければなりません。もちろんヘアスタイルは、いつもトレンドセッターでなければならないので、誰よりもトレンドに敏感で、それを早く引っ張っていく人たちをいかに作るかが大事だと考えていますね。

ただ、ひたすらトレンドセッターを目指していくと、「SHIMAらしさって何?」「SHIMAの特徴って何?」とぐらぐらしてしまうんですね。SHIMAの軸はいつも決まっていて、モードで、スタイリッシュで、クールでいなければならない。ただ、「モード」はとても危ないんです。ヨーロッパのヘアショーなどで見かける懐古的なスタイルは「モード」と称した古典主義だと思うんです。父の教えにもあるんですが、私たちは「いちばん攻めていてトレンディでエッジィなもの」を目指さないといけない。いまだったらヘイリー・ビーバーやカーダシアンズに代表されるLAセレブリティやNiziU、K-POPの子たちだと思います。彼女たちはSNSでもすごい数のフォロワーがいるし、ドームでもなんでもいっぱいにできる。彼女たちがトレンドなので、そこを認めて受け入れていく必要があります。「エッジィ」というと、黒髪でパキーンとしたボブとかを考えがちだけれども、それは全然エッジィじゃないんですね。むしろ「out of edgy」なんです。クールやモードを意識するあまり、古っぽくなっていくことはよくあります。時代はどんどん変わっていくので、いまは何がトレンドで最先端なのか、ネクストトレンドは何なのかということを、いつもスタッフには考えてもらうように言っていますね。

でも、ひたすらトレンドに乗っていくとSHIMAらしさがなくなってきてしまうので、SHIMAっぽいかっこよさを持ちつつ、トレンドセッターであるように。時代が変わるのが、いまは早いですからね。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

そうですよね。美容学校は国家試験が最後にあるんですが、国家試験のための勉強以外の、ものを考える力は大切です。若いときはインスピレーションによってデザインがどんどん生まれますが、社会に出ると少しずつ止まってしまうケースが多い。ですから、学生のうちにチャンスを与えたいと思っているんです。

私がいま考えているのは、美容師を目指す若い人たち憧れのトップスタイリストにオーディションをしてもらって、20人くらいの「SUPER CLASS」を持つこと。最近はヘアメイクアップアーティストや、オリジナリティのある道も目指せるようになってきたので、YAMANOにもさまざまな夢を持つ学生がいますが、シンプルに「美容師になりたい」という人に向けて、彼らがいられる場所をきちんと作ってあげたいのです。YAMANOにはさまざまな学生がいるので将来的にもネットワークができますし、学校でいろいろな活動を見ている間に「やっぱりこちらもやってみたいな」と思い始めたりしますから。ですから、有名な美容師さんにご協力をお願いして、「将来はトレンドセッターになりたい」という美容師を、少しでも育てたいと思います。

必要なのは
「潜在的なセンス」と
「がんばり」

山野愛子ジェーン

そして、山野学苑には「美道」の理念がありますから、本当は全部やらないといけません。特にいまの時代は、どこでも予算がカットされているので、ヘア、メイク、着付けをひとりの人が全部できたらいいだろうなと思うんです。学生の視点に立てば、人生100年という時代で、一人前になったらどんな立場ででも働ける──美容師、スタイリスト、ヘアメイク、着付師など、いろいろチョイスできるようになりますし。だけど、技術だけではなく気持ちが大切。落ち込まずに、怒られてもがんばる。いまの子たちはちょっと注意しただけでやめてしまうんですよ。

香緒里さんは、社員を選ぶときは何をいちばん大事にしていますか?

その答えは出ていないんです。まだ模索中なんですが、いま私が大事にしているのはまさにその「がんばれるかどうか」と「潜在的なセンス」、このふたつです。ショーや撮影でも、センスのない子はどうしてもいい作品ができないので、結局、私が指示することになるんですが、それはその子がやりたいものではないので、がんばりきれなくなってしまうんですね。自分で「これがいい」というものを選べるのもセンスだし、見ている人たちを感動させられる作品のゴールを、最初から思いついて出せることはとても大事です。

そして、せっかくセンスがいい子でも、がんばりが効かない子は辞めていきます。ですから、やはりがんばりも大事なのです。5〜10年前までは入社テストのとき、「あなたが人生でがんばったことは何ですか?」ということをメインに聞いていたんですが、面白いエピソードの子は花開きますね。いまSHIMAで売り上げが1位の子は、センスや学校の成績はそこそこだったんですが、家庭の事情で学生のときにとても苦労したらしいんです。でもすごいがんばって、美容学校のお金もアルバイトで稼いだと。「それで、自分は早く美容師になって稼いで、家族を楽させてあげたい」と言ったんですよ。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

もう、泣ける〜!

その子はいちばんにデビューして、いま1位です。とはいえ、いまでもヘアを作らせては画像を送らせて、全部に細かくコメントして指導しています。学生時代の経験があるので、その子はがんばりが効くんですね。性格もいいからお客様にも支持されるし、だからこそずっと1位なんだと思います。

ただ、がんばりだけで採用していたら、人材が地味になってきたんです。それで、いまはその人自身が持っているイメージ──本人にもそのセンスが表れるんです。自分のヘアメイクができずにお客様にできるはずがないですし、自分を自撮りしてバンバンSNSに出していく時代にアウトプットが下手な人は、たぶん他者にもやってあげられないから──そこを改めて重要視するようになって、かつ、がんばりが効くか。そのふたつを重要視するようになりました。

嶋香緒里

すべての人を
幸せにする
「美容の力」を
広めたい

山野愛子ジェーン

最後に、お互いにこれからの日本の美容業界にどういう希望を持っているか、考えを交換し合えたらと思います。

私は最初に美容業界に入ったとき、上下関係が激しくて意地悪な業界に見えたんですね。でも、そのいい部分を残したい。そして、ハートがある人を育てていきたいと考えています。「SUPER BIDO」のなかでも社会的な活動を紹介していますが、たとえば児童養護施設にいる子どもやお年寄り、障がいを持っている人、LGBTQの人、全員が美容を受ける権利がある。それをみんな、絶対に差別がないように、どこの国の人でも育てていきたいと考えています。

美容業界は、美容をとおして人を幸せにできる仕事です。成績もありますが、仕事を休まず、頼りにできて、人間性のある人でないといけません。美容師は接客時間がとても長いので、お客様に与える影響も大きいんですよね。そうすると、会話も大切。座っているだけでお客様がハッピーになるようなお話ができるようにならないと。

そのためには、知らないことを知る。児童養護学校の子ども達と触れ合うのもその一環です。また、「Special Beauty」という障がい児との活動も一緒にやっています。けれど、私たちは教育をするのに2年間しかないので、どうやっていくのかが課題ですね。

私たちはさまざまな方々をサポートする活動をしているのですが、美容の力の素晴らしさを感じることが多くあります。たとえば以前、視覚障がいのある方のヘアアレンジをした際、ご自身のヘアスタイルは見えないのですけれど、「ほかの人たちと同じようにできることがうれしい」と喜んでくださったんですね。。「みんな違ってみんないい」という考え方もありますが、「みんなと同じようにきれいにしたい、おしゃれがしたい」という気持ちもあるのです。そういった希望を叶えてあげられたらいいですよね。

こういったことをもっともっとみなさんに広めていきたいので、いろいろな美容室や美容学校と力を合わせて、所属は関係なく、時間のある人たちが集まって何かできたらと思っているんです。これから香緒里さんともたくさん会って、一緒にたくさんのことができたらいいなと思います。

ぜひお願いしたいです。ジェーンさんがおっしゃるとおりで、私も美容の力は本当に素晴らしいと思っています。5歳の娘はネイルやメイクも大好きで、暇さえあれば1歳半の妹にも子ども用のネイルをしてあげているんですが、下の娘はすぐ人にその爪を見せるんですよ。さらに、「おばあちゃんもやってみたら」と言われた母も久しぶりにネイルをして、気分が上がっていたんですね。1歳の娘もご機嫌で、72歳の母も喜んで、美容の力って本当にすごいなと思いました。

いまはコロナの問題もありますし、これから先もいろいろなことがあるかもしれませんが、どんなときでも美容ってずっとあるんですよね。いろいろなくなるものがあるかもしれないけれど、たぶん美容室とメイクやネイルはあるような気がします。もし美容室に行けなくなったり、そんなに人と会わなくなったとしても、みんな家でやるでしょうし。私自身、コロナで営業を1ヶ月ほど自粛せざるを得なかったとき、不安でいっぱいでした。でも、いざお店が復活するとき、ヘアやメイクをちゃんとしたら、「よしやろう!」「なんてことない、全然大丈夫!」という気持ちになったのです。そういうすごい力が美容にはあるので、これは引き続き絶対に強めていきたいと思っています。

嶋香緒里

「Amazing!」
クオリティを
目指して

それと同時に、次に必要なのはクオリティだと思うんですね。美容ならなんでもいいわけじゃない。アメリカではアジアンヘイトが問題になっていますが、アジア人の手先の器用さと勤勉さ、真面目さは素晴らしいと思うんです。足りないのはセンスの部分や、SUPERなクオリティを目指せていないということ。

LAのインフルエンサーのSNSを見ると、たとえばキム・カーダシアンやカイリー、ヘイリー・ビーバーなど、かわいい人はみんな同じヘアメイクの人が担当しているんですよ。セレブリティに愛されているヘアメイクアーティストは何人かいるんですが、みんなものすごくうまい。だから、うちのスタッフにもいつも言うんですが、「キメきれ‼︎」と。同じ美容師なのに、トップの仕事を「いいな〜」と見ているだけではダメなんです。同じフィールドにいるのだから、同じ舞台に立ったときに選ばれるくらいのクオリティを持っていなければ。サロンワークでもキメきれない人は、お客様にも「なんとなく」で終わらせているんですよね。「なんとなく」ではなく、日本の美容のパワーもスキルも「Amazing!」にしていかないと。でも、まだそこまでになっていないんですよね。世界のどこに行っても通用するくらいに、もっとがんばらないと。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

本当に、ぜひやってほしいです。いままでも世界大会などはヨーロッパのトレーナーばかりでしたが、日本人のトレーナーを呼んで欲しいですよね。

スキルはあるけれど、イメージやセンスがまだ足りないんですよね。ドメスティックというか。ジェンダーも何もかもを取り去ってやらないといけないし、そういう人をもっと出したいなと。それも、ただ奇をてらったようなものではなく、ダントツのクオリティがあるもの。これだけSNSが盛んで、リアルタイムで世界のものを見られるのに、なんで日本は感覚がドメスティックなんだろうといつも思うんです。残念だなと思うので、そこをもっと底上げしたいし、そういう場をもっと設けないといけないですね。

嶋香緒里

山野愛子ジェーン

そういう人たちがもっといればいいですよね。日本だけではなく外も見られて、違うふうにやろうと考えられる人たち。奈良さんもいらっしゃいますから、これからは世界にどんどん行けますね。

お父様ともお話ししたのですが、「We have to change」です。時代ごとにチェンジしてきたからSHIMAは本当に素敵に続いていますし、家族で続けていけるというのも本当にすごいことです。ですから、サポートし合いながらやっていきたいなと思っています。今日はたくさんの素晴らしいお話を、ありがとうございました。

嶋香緒里

Shima Kaori

SHIMAクリエイティブディレクター。成城大学法学部法律学科卒。2003年4月SHIMA入社。美容師として活躍後、SHIMAのPRESSとして広報を担当し、2011年よりSHIMAクリエイティブディレクターとして、スタッフ教育、ビジュアル広告やショーのプロデュース、サロンの内装、セット面やセット椅子のデザイン、オリジナルプロダクトの開発等、多方面で斬新な発想と実行力で300名の美容師を牽引している次世代の経営者。また、WELLA PROFESSIONALSのイルミナカラーやシュワルツコフのピラミンゴカラーの共同開発、中国でのセミナー講師としても活躍をし、サロン経営者の枠を超え、美容界でのイノベーターとしても注目されている。