OCTOPUS

齊藤結さん(Y) /新名絵梨加さん(E)
YUI SAITO & ERIKA SHINMYO

「OCTOPUS」という作品にしたきっかけを教えてください。

Y 今回、学生は3チームあって、それぞれで「Fantasy」に持っていけたらいいなと考えたとき、「海」「空」「山」という3つの案が出たんです。そこで私たちは「海」の案を考えようということになりました。海と言えば、波や魚などいろいろあるのですが、タコかな……と思って考え始めたのがきっかけです。最初はタコを載せた頭は赤い髪で表現しようと思っていたのですが、違うもののデザインに青髪で波っぽい感じのものがあったので、波をイメージしたショートカットの髪に赤いタコを乗せました。この青い髪のウェーブは、国家試験課題のフィンガーウェーブというもので、普段授業でやっていること。それを利用して、髪の毛の表面を立体的にして波をイメージできたらなと思って作りました。

実際にモデルさんを使って作品を作ってみて、気づいたことや、想像と違ったことなどはありましたか?

Y いつもウィッグで練習をしているのですが、ウィッグだと自分の思い通りにピンを刺せるのに、モデルさんだと「痛くないかな」などと気をつかいました。家ではずっと目を開けたままでできるマスカラも、モデルさんは目が乾きやすかったりするので、優しくメイクを施すというのが普段と違うので大変でした。

E 普段は作品を作るとき、制限時間がないことが多いのですが、決められた時間内に終わらせなければいけないというのも勉強になりました。時間配分と、求めているものとのクオリティのバランスが大変だなと感じましたね。また、モデルさんが少し下を向いた状態でセットしてしまうと、いざ写真を撮るために前を向いたときに、「思っていた角度と違うな」とはじめて気がついたり。それも計算したうえでセットしていかなければいけないということも学ばせていただきました。

Y レスリーさんはトップクラスの写真家さんで、スタイリストさんも素晴らしい衣装を用意してくださったのですが、「ここにタコの足があったら可愛いんじゃないか」「タコの目がこっちに向いていたほうがいいんじゃないか」という自分たちなりのこだわりもあったので、少しずつ手直しをしながらやっていきました。

出来上がった作品の写真を見て、どう思いましたか?

Y スタイリストさんやレスリーさんのカメラワークでここまでの作品ができることが、本当にすごいなと思いました。自分たちの未熟さもわかって、「プロの力ってすごいな」と。こんなにすごい人たちと、こんなにすごい作品を作ってもらえることが光栄だなと思って、感動してしまいました。

E 齊藤さんは感極まって、撮影中もレスリーさんの後ろでうるうるしていたんです(笑)。私たちは未熟なんですけど、未熟なりにふたりで話し合って考えて、時間も限られているなかで、会えるときは会って、帰宅してからも電話して、試行錯誤して……結果、ああいう素晴らしい形にしていただいたことが、感動。はじめての作品としての達成感がすごくあります。じつは撮影の6日前に、区切りとなるコンテストが行われたのもあり、準備でだいぶバタバタしてしまいました。コンテストも頑張りたいし、この撮影も頑張りたいし、と。デザインが決まったのが撮影の3日前だったのですが、1週間でここまで追い込んで、ここまで仕上げていただいた。タコで髪型を作るとか、髪の毛を使ったほうがいいのではないかというのはジェーン校長からいただいたアイデアですし、レスリーさんからも「小さいタコがいっぱいあったほうが面白い」というお言葉をいただいたりして、本当に助けられ、なんとか今日に間に合った、という感じです。お互いに気持ちも不安定になったりしたなかで時間を作って、常に学びの1週間、すごく濃い1週間でした。

Y 自分はあまりヘアメイクをやってこなかったので、正直、「できるかな」って思っていたんです。でも、新名さんがメイクのセンスがあるので、メイクはやってもらっちゃたりして。

E 私はちょっとカットが苦手なんですけど、カットやウェーブは齊藤さんが得意なので、お互いにバランスがよくて。このふたりでペアだったんですが、撮影のときも準備のときも他のチームの人が手伝ってくれて、「こうやってやるんだ!」ということも学べました。

ここからは、作品以外のことでうかがいます。おふたりが美容の道に進もうと思ったきっかけはなんですか?

Y 小学校低学年の頃、周りに可愛くておしゃれな友達が多くて、「可愛くなりたい」「おしゃれになりたい」と思っていたんです。その頃の私は「美容師さん=可愛くておしゃれ」と思っていて、可愛くなりたいから美容師になりたいと。でも、成長するにつれて、姉の成人式のときに担当してくださった美容師さんを見たり、叔父と叔母が美容師だったりしたのもあって、だんだん自分が可愛くなるというよりも、自分が持っている技術で周りの人を幸せにするのが素敵だなあと思うようになって、美容の道に進みました。

E 私は幼稚園のとき、人形の髪の毛をいじるのが好きだったんです。今思うと本当に簡単なアレンジだったんですが、周りから褒められたんですね。それが嬉しくて、そこから練習するようになって……友達や家族、親戚の髪の毛をアレンジしてあげたら、すごく喜んでくれたんですね。それから、「美容師さんになりたい!」と思うようになりました。さらに、就職を考える年齢になったとき、「自分の技術ひとつでここまで人を笑顔にすることができる職業って、美容師しかないんじゃないか」と。そのくらい素敵な職業だと思ったので、美容の道に進むことにしました。

たくさんの学校のなかから、山野美容専門学校を選んだのはなぜですか?

Y 私は小学校から高校までスポーツをやっていたのですが、進学の節目のときに思い切った行動がとれなかったんです。強豪校で、周りがすごい人たちばかりという環境のなかでやっていく自信がなくて、自分がやっていけるところを選んで高校に入ったんですね。でも、大学に行くか美容師になるか迷ったとき、中学高校の進学時に勇気が出なかった分、結果が中途半端になってしまって、大学でもやるという覚悟ができなかった。でも、美容師になりたいというのは、自分がやりたいと思ったこと。だから、これは積極的にやると決めて、日本で一番有名な学校、世界で名前が知られている学校に入ろうと思ったんです。設備もよく、世界的にも幅広く活動ができるYAMANOに入れば、やりたいことができるし、自分の世界が広がるなと思って、山野美容専門学校に入りました。

E 私は、美容専門学校1択だったので、どこに行こうかなと思ったとき、YAMANOにはここでしか取れない福祉美容師の資格が取れることを知ったんです。少子高齢化問題もありますし、のちのち絶対に必要になってくる分野なのかなと思ったので、その資格が取れるところに惹かれました。ただ、私は人見知りだったので、大人数なところが引っかかっていました。「こんなにたくさん学生がいたら、埋もれてしまうんじゃないか」「あまり先生に聞けないんじゃないか」とか、不安しかなかったんです。でも、「美容師になるのに人見知りではダメだな」と。変わるならここでしかないと思ったんです。変わりたいからこそ、いちばん苦手な、人がたくさんいるところに身を置いて、生き残っていけるように頑張ろうと。自分を追い込むつもりでしたね。半分挑戦のつもりで山野美容専門学校に入ろうと決めました。

 

学生生活の楽しいところ、苦しいところはどんなところですか?

Y 楽しいところは、新しい大きな挑戦をさせていただけること。美容の技術をやっていることが楽しいです。今回のメンバーは、普段はそれぞれ違う部門でコンテストの練習をしているんですが、みんなで案を出し合ったり、話し合ったりするのもとても楽しかったです。同時に、思っていることを表現できなかったり、アイデアが出なかったり、ひとりではできないこともあって、悩むこともありました。まだまだ経験が足りないから、その分つらいこともあるのかな、と。悩んでいるとき、レスリーさんや教員の先生など、長い経験と知識がある方が、案を引き出してくださいました。まさか、入学して1年数ヶ月で、こんな大物の方と一緒に作品を作らせていただけるなんて思っていませんでしたし、実際、周りにもとても助けられましたが、今回のこの経験はすごく自信になりました。

E 今回の撮影もそうですが、新しい出会いはこの学校に入ったからこそです。素敵な出会いがたくさんありました。新しく素敵な出会いをした瞬間はすごく楽しいし、充実しているなと思う瞬間です。コンテストクラブに入っていたからこそ今回の機会をいただくことができましたし、そのときそのときで「自分の選択は間違っていなかった」「やってきてよかったんだ」と思える出会いがありました。コンテストに出場したときには、なかなかうまい形にならない、結果が出ない、練習の成果が出ないなど、苦しいこともありましたが、それすらも楽しいと思えるんです。周りに仲間がいたので、苦しいけど楽しい、どちらの面もありました。ですから、「苦しい、苦しい……」というだけときはなかったですね。トータルで見たときに、どのできごとも、楽しいことのほうが大きかったです。とくにこの1年間はすごく濃くて、苦しかったけど、やっぱり楽しかったなって思っています。

将来の夢はなんですか?

Y 中学生くらいから思っていたことですが、お客様のなかには人見知りの人もいるでしょうし、美容師さんと話すのが苦手な人もいますよね。サロンに携帯やマンガを持ってきている人もいると思いますが、お客様のなりたいイメージに近づけるためには、コミュニケーションが必要だと思うんです。そのためには会話が大事ですが、人見知りのお客様でも、殻を破ってご自分の話をしてもらえるように、また、どんなふうにしてほしいのか、どういう理想があるのかを聞き出せるようになりたいです。あとは、カットやカラーをさせていただいている時間を、お客様との会話によって共有して、その時間を楽しんでもらえるようになったらいいなと思っています。そうすれば、お客様のなりたいイメージにも近づけられますし、私とお客様の距離も近づきますよね。さらに、お客様にその時間を楽しいと思ってもらえたら、一石三鳥です。お客様との心の距離を近づけられるような美容師になれたらいいなと思っています。

E 今までたくさん素敵な出会いをさせてもらった分、これからは私もひとつひとつの出会いを大切にできる美容師さんになりたいと思っています。出会った瞬間から、長くお客様と付き合っていけるような──成人式や結婚式などの人生の大切な節目のときに「この人にやってもらいたい」と任されるようになりたいです。また、お客様が新しいご自分に出会えるように、新しい発見や素敵な一面を引き出せるようになりたいと思っています。

Please tell us about your idea for this design, and what you thought of being in the studio with Leslie Kee.

Y: We chose “OCEAN” as our theme and used the “finger wave” skill that we learned in school in preparation for the National Cosmetology Board Exam. We put a red octopus on the blue waves. We realized that we have a lot to learn but it was an honor to see our idea brought to this level.

E : The model was looking down as we arranged her hair, but in the photo shoot she was looking at the camera. We learned that we had to keep this in mind as we prepared. We only had one week to get ready for the shoot so we were both nervous but learned so much!

Why did you decide to work in the beauty industry?

E : From a young age I always thought of becoming a beautician. When I was old enough to actually think about what I wanted to do, I realized, “With this one skill set, a beautician is the only job that has the ability to make people smile.”

Tell me about your student life.

Y: It is fun to be challenged with new and big ideas. Just over a year after entering Yamano, I could have never imagined being able to collaborate with world class artists at this early stage in my career. This experience has given me so much confidence.

Leslie’s Impression

たくさんの手が波のようにうねっている深海の上に、学生たちが考えたOCTOPUSが生まれてくるというイメージです。背景の黄色は、太陽の光を表現しています。

The numerous legs sway like waves above the deep blue ocean. This is how the student’s idea of “OCTOPUS” was born. The yellow background represents the shining sun.